【完全版】マイクロ法人で導入する企業型DCのシミュレーションを解説します

マイクロ法人
Dr.さいとー
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こんにちは。フリーランス医のDr.さいとーです。

企業型DCは個人と法人の節税ができるメリットがある反面、口座管理手数料がネックになり適応を迷う方も多いでしょう。

特に従業員の少ないマイクロ法人で企業型DCを使うかどうか、制度の詳細を吟味して判断する必要があります。

今回は【完全版】としてマイクロ法人での企業型DCのシミュレーションを解説していきます。

シミュレーションの結論

・役員1人なら、企業型DC単独で掛金MAXで掛けるのがおすすめ。

・役員2人以上なら、iDeCo併用型でもOK。

→企業型DCを使い倒せるならおすすめですが、掛金が少ないと手数料負けになるので注意です

この記事を書いた人
Dr.さいとー

医師:消化器外科医(外科専門医)→フリーランス内科・在宅診療医に転向。
Dr.さいとーの雑記ブログ「Give &Giブログ」で情報発信中。
資格:FP3級、簿記3級 宅建
2021年8月 マイクロ法人設立
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マイクロ法人での企業型DC導入をシミュレーション

判定方法

今回のシミュレーションでは

利益に対する手数料(手数料率= 企業型DCの運用手数料/(運用利益+節税額)

が重要です。

手数料率を〝税率〟と捉えて、法人税率(32%)や個人の株式投資の利益にかかる税率(≒20%)と比較します。

まとめると下のようになります。

手数料率 > 32%(法人税率) → ✖️ 適応なし

手数料率 ≒ 20%(個人の株式投資の税率)→ △ 適応はおすすめしない

手数料率 ≒ 10% → 適応がおすすめ

手数料率 ≒ 5%  → よい適応

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先にシミュレーション結果をお示しします。

企業型DCの適応のフローチャート

フローチャートの解説

解説 A 判定:適応なし

適応なし

・加入役員が1人or2人

・役員報酬が4.7万円未満

・役員報酬が6.7万未満、かつ、年間約55万円の法人損金を許容できない

この場合は手数料の割合が多くなり、手数料負けになるため【適応なし】の判定になります。

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企業型DCの導入は見送り、個人でiDeCoを積み立てましょう!

解説 B 判定:適応はおすすめしない

適応はおすすめしない

・加入役員が1人

・役員報酬が6.7万未満

・年間約55万円の法人損金を許容できる

この場合、【適応はおすすめしない】です。

掛金は企業型DC3.5万円+iDeCo2万円の併用を想定しています。

手数料率20.87%になり、個人の株式投資の税率とほぼ同じです。

税率が同じなら個人での株式投資した方が、資金ロックがなくの高い流動性があります。

高い手数料を払って、企業型DCを利用する意義は少なくなるでしょう。

どうしても法人に損金を作りたい、今後加入者が増える見込みがある、など理由がなければ適応はおすすめしません。

解説 C 判定:適応がおすすめ

【適応がおすすめ】

・加入役員が1人

・役員報酬が6.7万以上

・年間約80万円の法人損金を許容できる

上記の場合【適応がおすすめ】です。

掛け金はiDeCoを併用せずに、企業型DC単独で5.5万円です。

役員報酬が高いため、社会保険料の等級が下がる効果も期待できます。

手数料率は12.85%で個人の税率を大きく下回ります。

法人の損金が許容できるのであれば、適応がおすすめです。

解説 D 判定:適応がおすすめ

適応がおすすめ

・加入役員が2人

・役員報酬が4.7〜6.7万

・年間約98万円の法人損金を許容できる

この場合は【適応がおすすめ】です。

掛金は役員2人とも企業型DC3.5万円、iDeCo2万円の併用です。

手数料率は10.46%で個人の税率を大きく下回ります。

法人の損金が許容できるのであれば、適応がおすすめです。

解説 E 判定:よい適応

【よい適応】

・加入役員が2人

・役員報酬が6.7万以上

・年間約146万円の法人損金を許容できる

この場合は【よい適応】です。

掛金は役員2人とも企業型DC単独で5.5万円です。

役員報酬が高いため、社会保険料の等級が下がる効果も期待できます。

手数料率は6.03%でこのシミュレーションでは最低水準です。

法人の損金が許容できるのであれば、よい適応です。

企業型DCのシミュレーションの条件

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フローチャートのシミュレーションの詳細です。

小難しい設定で内容も複雑なので、中身が気になる方は読んでみてください。

それ以外の方はさらっと流して大丈夫です。

適応の条件

・役員の人数と企業型DCの掛金で場合分け

・個人の所得税率(33%)と住民税率(10%)

・企業型DCのコストと法人税率(32%)

・企業型DCの運用条件(4%複利、運用期間20年)と手数料率の計算

役員の人数と企業型DCの掛金で場合分け

解説のABCDEの通りにシミュレーションを行いました。

A:iDeCo単独(掛金2.3万円)

B:役員1人、iDeCo併用(掛金2万円)、企業型DC(3.5万円)

C:役員1人、iDeCo併用なし、企業型DC(5.5万円)

D:役員2人、iDeCo併用(掛金2万円)、企業型DC(3.5万円)

E:役員2人、iDeCo併用なし、企業型DC(5.5万円)

個人の所得税率(33%)と住民税率(10%)

個人の所得税率(33%)と住民税率(10%)を加味した、iDeCoによる年間の節税効果は

年間の掛金×{1-(0.33+0.10)}。

A:iDeCo単独の場合,

276,000×{1-(0.33+0.10)} =157,320円 です。

また、法人の掛金の部分には給与収入不算入による節税効果には所得控除CEのように高い役員報酬が想定される場合、社会保険料の削減効果が加算されます。

企業型DCのコストと法人税率(32%)

このように企業型DCのコストは発生し、掛金に上乗せして法人の損金になります。

企業型DC+ランニングコストを加味した損金と法人の節税額はこのようになります。

企業型DCの運用と手数料率

企業型DCの運用は運用期間20年、4%複利を想定しました。

その利益と上記の節税から利益に対する手数料の割合(手数料率)を出します。

手数料率 = 企業型DCの運用手数料/(運用利益+節税額)

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た、大変でしたが。

このように手数料率を計算しました。

要するに「企業型DCの掛金が多いほど、手数料率は下がります

マイクロ法人で企業型DCのシミュレーションのまとめ

最後までお読みいただいてありがとうございます!

シミュレーションの結論

・役員1人なら、企業型DC単独で掛金MAXで掛けるのがおすすめ。

・役員2人以上なら、iDeCo併用型でもOK。

→企業型DCを使い倒せるならおすすめだが、掛金が少ないと手数料負けになるので注意しましょう

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以上Dr.さいとーでした!

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それではまたお会いしましょう!!

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コメント

  1. SOGO より:

    いつも詳細なブログを書いて頂きありがとうございます。

    現在、マイクロ法人に向けて準備中です。ただ新規設立ではなく1物件1法人スキームで運用されている中古RCを合同会社ごとM&Aで取得する形です。M&A会社に手数料が発生しますが法人設立費用や仲介手数料が無くなります。法人名は登記変更で自分の好きな名前にしますが、名称はすでに考えてあります。

    今回の御縁は小規模企業共済を申し込んだ信用金庫からの紹介で、税理士も紹介してもらいました。法人を幾つも持つつもりは無いので、この法人を育てていけたら嬉しく思います。

    役員報酬はおそらく格安に設定するので企業型DCは適応が無さそうです。現在は国保なのでiDeCoは高額でこの1年はかなり積立が進みました。マイクロ法人での健康保険にすると低額に戻る事になりますね。

    フリーランス医の生活も2年目に突入しますが、今のところ順調です。
    法人取得出来たら、またこちらでご報告申し上げます。
    今後ともよろしくお願い申し上げます。

    • Dr.さいとー Dr.さいとー より:

      SOGO様
      いつもコメントいただきありがとうございます。
      法人のM&A面白そうですね。事業ごと買える強みがありますね。
      紹介してもらえたのも小規模企業共済でしっかり信用貯金が貯まっている証拠ですね。
      おめでとうございます。
      企業型DCのブログ読んでいただき、ありがとうございます。
      現状マイクロ法人への適応はまだまだ難しいですね。
      今後ともよろしくお願い致します!

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