こんにちは!Dr.さいとーです。
今回はファイナンシャルプランナー(FP)で勉強した贈与について、自分なりの考察を加えて内容をまとめてみました。
下記のような方に読んでいただければと思います。
・贈与って親が考えればいいと思ってました
・贈与税については更によくわからない
・これを機に相続とか贈与について考えてみようかな
贈与や相続は親だけ、子だけが知っていればいいものではありません。
しっかり理解して、資産形成に生かしていきましょう!
まずは資産額を知る
両親や祖父母に現時点どれくらいの資産があるのかを知ることから始めましょう。
現金、預貯金、有価証券などの流動資産、不動産や土地、自家用車などの固定資産、その他、保険や、ゴルフの会員権なども資産に含まれます。
子孫に資産を残す方法として、相続と贈与があります。贈与を行わなければ、すべて相続になりますので、まずは相続額がどれくらいになるのか、イメージをつけることが大事です。
相続については別の記事で詳細に書きたいと思いますが、ざっくり説明すると
相続税の基礎控除=3000万+法定相続人数×600万円です。
この範囲であれば相続税はかかりません。
相続において相続税が発生する件数は全体の8%程度です。つまり、約92%の家庭では相続時に資産額が基礎控除額に達していないということです。
次の3点を確認しましょう!
・相続の総額はいくらか
・相続税はかかるのか
・その額はいくらか
ここから、贈与のことを学んでいきましょう!
贈与とは
・贈与とは個人から個人に無償で財産を与える契約のことです。
・契約書は必ず必要ではなく、口頭でも成立します。
・相続と対象的に生前から財産を他者に与えることを指します。
贈与税の計算
贈与税の計算には暦年課税と相続時精算課税の2種類あります。
暦年課税制度(れきねんかぜい)
こちらは多くの方が想像する贈与税の計算です。
暦年課税では1年間に、もらった財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。(110万円以下なら贈与税はかかりません)
贈与税は下記の式で計算されます。
贈与税額=(課税価格ー基礎控除110万円)× 税率 – 控除額
・課税価格とは贈与税の計算のもととなる財産の金額のことで次の式で表されます。
財産に含まれるもの、含まれないものがあるんだね!
税率には一般税率と特例税率があり、特例税率は父母、祖父母からの贈与の場合に適応可能です。
比較してみると両親や祖父母からの贈与で、
特別税率を適応した方が税率が低く抑えられることが分かります。
相続時精算課税制度
相続時精算課税は簡単にいうと、生前から相続を行うイメージです。
1年間に贈与を受けた金額が2,500万円まで非課税で、2500万円を超えた部分は20%で課税されます。贈与者ごとに利用できるため、例えば両親からそれぞれ贈与を受ければ、最大5,000万円まで非課税となります
相続時精算課税の要件
贈与者:満60歳以上の父母または祖父母
受贈者:満20歳以上の推定相続人である子または孫
手続き贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日の間に一定の書類を添付した贈与税の申告書を提出する必要があります。
相続時精算課税制度のデメリット
①贈与した財産が相続税に含まれること
・相続時精算課税を選択した場合で、贈与者が死亡した際には、生前に贈与した財産を相続に含めて相続税を計算します。
・たとえ2500万円以内の非課税枠内で贈与を受け取ったとしても贈与者が亡くなったときには相続税に加算されて、その額によっては相続税がかかってしまうということです(ただし、贈与税は相続税から控除されます)。
②暦年課税に戻れない
同じ贈与者からの贈与について、相続時精算課税制度を一度利用すると暦年課税には撤回できません。(毎年の非課税枠、基礎控除110万円分を失うことになります)
節税にはならず、大抵の場合は支払う税金自体が多くなってしまいます。
将来の相続税総額を減らしたい方にはおすすめできません。
相続時精算課税制度の真のメリットとは・・・
暦年課税を選択していれば、年間110万円の基礎控除で非課税です。
贈与年数が23年を越えれば非課税枠は2530万円となり、相続時精算課税の非課税枠2500万円を上回ります。
しかも、相続時精算課税の贈与分は相続額から控除されません。
相続時精算課税制度は本当の意味で節税にはなっていませんし、税を先送りにしているだけで、一見、役に立たない制度に感じてしまいます。
節税ののメリットが少ない相続時精算課税制度ですが、ただの役にたたない制度なのでしょうか。
相続時精算課税の真のメリットは「割引現在価値」を知れば見えてきます。
①「今」もらえることの価値(割引現在価値)
割引現在価値とは 将来に受け取れる価値が、もし現在受け取れるとしたらどの程度の価値をもつかを表すものです。
同じ100万円をもらう場合、
50年後と今なら、今もらえた方が価値が高いですよね。
気持ちの面で嬉しいということではなく、今もらえる100万円は将来もらえる100万円より価値が高いということです。
具体例で説明します。
今100万円をもらって、金利0.1%の定期預金に預けたとすれば、1年後には100万1千円になります。
同じように今、99万9千円をもっていて定期預金に預ければ、来年は100万円を作り出せる、ということになります。
つまり、定期預金で運用する場合の来年もらえる100万円の価値は現在に割り引いて考えると99万9千円である。
金利0.1%運用下で1年後100万円の割引現在価値は99万9千円であるということになります。
この場合、定期預金の金利0.1%は割引率といい、割引く際の利回りをいいます。
割引現在価値のは下記の計算で表されます。
割引現在価値=将来もらえる金額 ÷ (1+割引率)年数
もちろん運用の仕方は人それぞれで、割引率があがれば、割引現在価値は下がります。
ここで話を戻します。
相続時精算課税で今もらう300万円と、暦年課税で3年で100万円×3をもらう300万円の価値を比較します。
・相続時精算課税制度を用いればもらう300万円はそのまま300万円です。
・暦年課税を用いた場合は割引率ごとに分けられます。例を下記にあげます
金利0.1%の定期預金運用した場合
割引現在価値=100万円 + 100万円 ÷ (1+0.001) + 100万円 ÷ (1+0.001)2 ≒ 299万7千円
金利4%の投資信託をした場合
割引現在価値=100万円 + 100万円 ÷ (1+0.04) + 100万円 ÷ (1+0.04)2 ≒ 288万6千円
相続時精算課税制度で今もらう金額と暦年課税で年数をかけて金額は、総額が同じであれば、今もらったほうが価値が高いということです。これが年数が多くなればなるほど、差が大きくなります。
大事なことは割引率は自分の運用の次第で決まるということです!
②贈与と必要支出のバランス
暦年課税で贈与額は相続額には含まれず、額によっては相続税は安くなります。つまり得をするのは相続時です。「今」手元に残る資産は相対的に少ないと言えます。
相続時精算課税では相続時に税金が増えます。贈与でもらった分にも額によっては相続税が発生してしまいます。得をするのは「今」で、現在の資産の最大化ができます。
さて、ここで必要支出のバランスを考えてみましょう。
年代別本当に資金が必要になるのはいつでしょうか。
人の平均寿命は男性約81歳、女性約87歳、相続が発生するのは非相続人がなくなった時なので、その子である相続人の平均年齢は50歳以上のことが多いのです。
子供は独り立ちし、生活費は夫婦の生活費のみとなるとことが多い時期になります。
親の介護の費用などを負担する場合もあるかもしれませんが、被相続人は亡くなっているため、被相続人の介護費用には使えません。
一方、生活費が増えるのは30代〜40代です。子育てをしていれば、養育費、学費、家族の余暇にも資金を使いたいと考える家庭も多いでしょう。
また高い生活費を払いながら、マイホームや自家用車の購入、自己投資や事業投資や株式投資など臨時支出が増える時期でもあります。
30−40代にこそ、自身の人生を最も豊かにする資金が必要な時期であると考えます。
何かと出費がさかむ時期の贈与は嬉しいね!
割引現在価値で考える贈与のまとめ
今回は割引現在価値で考える贈与税の制度を解説しました。
まずは両親の資産状況を把握して、どれくらいの財産があるのかを把握する必要があります。
その上で贈与する場合は2種類あります。
暦年課税では毎年基礎控除額が決まっており、総税額上のメリットがあります。
一方、相続時精算課税制度は税額上はメリットが少ないですが、「今もらえる資金の最大化」というメリットがありました。割引現在価値で考えれば「時間」を味方につけた制度であるが理解できたと思います。
また株式や不動産投資、事業など、「今」の資産得を最大限活かし方はそれぞれで、割引率は運用次第で大きくなります。このように今の資金は運用の仕方次第では無限の将来価値を生みます。
しかし、若くした得た資産の活用の仕方を知らなければ、多くの浪費に使ってしまう危険もはらんでいます。お金の知識を正しく身につけて、資産形成に活かして行きたいものです。
メリット、デメリットを理解して、自分のライフスタイルに合った制度を活用して豊かな人生にして行きましょう!
以上です!!
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