今回「扶養」について考えるところと、税理士さんからアドバイスをもらったのでその内容を記事に書きたいと思います。
扶養(ふよう)は、老幼、心身の障害、疾病、貧困、失業などの理由により自己の労働が困難でかつ資産が十分でないために独立して生計を営めない者(要扶助者)の生活を他者が援助することです。(Wikipediaより)
扶養には「健康保険の扶養」と「税務の扶養」の2種類があります。
それぞれの扶養は得する人や要件が異なりますので、分けて理解しましょう!
それでは、扶養についての勉強をしていきましょう!
健康保険の扶養
健康保険の扶養は主に保険証の内容に関係します。
社会保険の医療保険には自営業者が加入する国民健康保険(国保)と、主にサラリーマンが加入する健康保険があります。
国保には扶養制度がありません。
健康保険の扶養は健康保険証を持っている被保険者が扶養をする権利があります。
健康保険証を持った現役世代が、定年退職し、国保になった親族を扶養するというのが一般的です。
健康保険の扶養:メリット
健康保険上の扶養は被扶養者、つまり「扶養された人」が得をします。
メリット①:被扶養者に健康保険証が交付され、健康保険の保険給付を受けられること。
メリット②:国民健康保険料(一人につき月額16,540円)が免除されること。
そして、もう一つ重要なことは被保険者(扶養するひと)の社会保険料などの負担は増えないことです。
退職して国民健康保険になった両親を扶養に入れることで両親の33,080円/月、年間約40万円の社会保険料が免除されます。(※ただし、75歳未満で後期高齢者医療制度に未加入である必要あり)
健康保険の扶養:要件
健康保険の扶養にはいくつかの要件を満たす必要があります。
収入の上限
健康保険の被扶養者の収入の上限は130万円です。継続性のある年収(年金を含む)は全て含まれます。
また被保険者の年収が被扶養者の2倍以上である必要があります
親族の範囲
3親等以内の親族。(自分から見て、両親、祖父母、兄弟、姉妹、子、孫、おじ、おば)
※配偶者は含まれません。おじ、おばは同居が必要)
仕送り
主として被保険者の収入で生計を維持している必要があります。(仕送り額は自己申告)
加入している社会保険で対応は差があるが、特にいくらまで仕送りする必要があるという、明確な定義はありません。(⇨仕送りの事実が重要。)
税務上の扶養
税務上の扶養は、所得税に関わる内容です。
親族を扶養してる負担を、納税者(扶養する人)の所得税を減らして(控除して)くれる制度です。
税務の扶養のメリット
税務上の扶養のメリットは納税者、つまり「扶養した人」が受けられます。
メリット:扶養者(扶養した人)が被扶養者1人につき38万円の所得控除(70歳以上であれば48万円、さらに同居していれば58万円)されることです。
両親を扶養することで、控除額は76万円となり、所得に応じて所得税率20-33%をかけて、約15〜25万円/年の節税となります。さらに祖父母などを扶養すればさらに節税額は大きくなります。
被扶養者(扶養された人)にメリットやデメリットはありません。
ちなみに配偶者は扶養控除ではなく、配偶者控除となります。
税務の扶養の要件
税務上の扶養の要件は下記のようなものがあります。
①所得の上限
年間所得が38万円以下である必要があります。収入ではなく、所得であることに注意が必要です。
(給与所得の収入の場合は年間103万円)
②親族の範囲
6 親等内の血 族および 3 親等内の姻族
(自分から見て、自分の親戚のほとんど、配偶者の両親・祖父母・おじおば・兄弟・姉妹・姪甥)
自分から見て、両親、祖父母、兄弟、姉妹まで)※ただし、同居の有無は問わない。
税理士さんの見解では毎月の仕送りで、所得控除の1/2以上の仕送りが必要とのことです。
③仕送り
所得控除額が一人につき38万円で、仕送り額は年間19万円、月々16,000円程度となります。
両親の場合、仕送り額は月々32,000円程度ということになります。
節税した金額の使い道
・社会保険上の扶養に入れて、年間約40万円の社会保険料の免除
・両親へ仕送り、年間38万円(月々32,000円)
・所得控除で15~25万円の節税
を行うことで年間93万円〜103万円の資産を形成することができます。
その使い道は様々で、
①そのまま両親の生活費として渡す
②自分の家計や養育費に当てる
③旅行代など余暇に使う
④親との旅行代にする・・・・などそれぞれ相談次第です。
もし、両親への援助が不要の場合は、親から子への贈与として受け取ることができます。
(年間110万円以内の贈与であれば申告不要です)
扶養のデメリット
高額療養費の限度額が上がる可能性
健康保険の給付の一つに、高額療養費制度があります。
高額療養費の限度額は標準報酬月額(4−6月の給料や報酬の平均額)で決定します。
親族が扶養に入れると被保険者が両親から自分に切り替わります。
被保険者の年収が上がる → 標準報酬月額が上がる → 高額療養費の限度額が上昇する
という流れになります。
被扶養者が外来、入院で高額の医療費がかかった場合に月々の支払い限度額が通常よりも上がる可能性があります。
介護保険料が上がる可能性
被保険者が40歳以上の場合、介護保険の対象者となり、保険料を納める必要があります。
この保険料は世帯年収で区分分けされているため、扶養することで扶養親族と同世帯扱いになります。世帯年収が上がるため、介護保険料が上昇する可能性があります。
このデメリットに関しては改めて勉強して記事にしたいと思います。
心理的なハードル
扶養を考えたときに、問題となってくるのが被扶養者の心理的なハードルです。
実際親族に仕送りを送れば、扶養親族該当する方がいたとします。
しかし、親族に扶養の話をしようとすると
「子供の世話になんかならないよ」
「仕送りもらうほど困ってない」
など反応が返ってくる可能性が考えられます。
実際に生活に困窮した方でなければ扶養自体に抵抗感がある人は多いかもしれません。
実際にはそういった感情論ではなく、制度を有効活用した節税の一つで、親族の資産形成に必要な勉強と手続きであることを伝えてる必要があります。
まとめ
今回扶養について勉強してきました。
扶養制度を理解し、有効活用することで親族の生活の支援や自分の資産形成の一助になる可能性があります。
扶養のメリットとデメリットを十分に理解すること、また親族と財産について相談する機会をもつだけでも価値がある行動だと思います。
これからも勉強して、自分の理想を叶えて、豊かな人生にしていきたいものです。
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以上、Dr.さいとーでした。
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