勤務医が大学院生やフリーランス医師になる際は保険の切り替えが必要となります。
医療保険の基礎知識と乗り換える際の注意点などを記事にしました。
まずは結論から!
1,勤務先を退職後、健康保険の任意継続をする。
2.2年の任意継続の期間以内に2ヶ月以上勤務後、退職する病院があれば、任意継続をさらに延長する
3.任意継続が終了したら国保か医師国保の保険料が安い方を選択する
4. マイクロ法人で社会保険料を最適化する(New!)

それでは医療保険の基礎について学びましょう!
公的健康保険について
公的医療保険は健康保険証か国民健康保険証(国保)に分けられます。
国民健康保険 | 健康保険 | |
対象となる人 | 個人事業主 開業医・フリーランス医師 | 公務員・サラリーマン 勤務医 |
医療費 | 原則3割負担 | 原則3割負担 |
出産育児一時金 | 原則42万円 | 原則42万円 |
出産手当 | なし | あり |
傷病手当 | なし | あり |
保険者 | 市町村 | 勤務先が所属する健康保険団体 |
保険料の支払い | 全額自分で払う | 給与から天引 (勤務先と折半) |
両者の違いとして国保には出産手当や傷病手当がありません。
→保障は健康保険の方が手厚い!
勤務医は医療保険が折半で給料天引き(源泉徴収)、国保では全額自分で支払う必要があります。
そして、健康保険は扶養制度があるのに対して、国保では扶養制度はありません。
扶養詳細については以前の記事を参照ください。
また、健康保険では厚生年金、国保では国民年金を納めます。
国保の社会保険料
国保の保険料は43,500円〜82万円/年と収入に応じて決まります。
年収500万円の人の年間の保険料は35万円程度です。
上限額は年間給与収入1100万円(所得8,60万円)以上の方は、
保険料の上限額は820,000円/年(68,333円/月)です。
健康保険の社会保険料
健康保険の保険料は年間3万円〜約84万円と収入に応じて決まります。
健康保険料は4月〜6月の報酬(標準報酬月額)から決定されており、
年間約3万円〜84万円と幅があります。
年収500万円の人(40歳未満)の折半額は年間30万円ほどで、
国保より自己負担額は安くなります。
詳細な額は都道府県で異なります。参考として東京都の保険料はこちら。

フリーランス医師の健康保険の切り替え

ここからは勤務医が大学院生・フリーランス医師になった場合の医療保険になります!
勤務医が大学院入学やフリーランス医師になる場合、
勤務医の時に入っていた健康保険が退職後に切り替えが必要になります。

保険切り替えは初めての手続きや期限があるため、
制度を理解して適切に利用していきたいですね!
フリーランス医・大学院生の医療保険の選択肢は3つです。
- 国保
- 健康保険の任意継続
- 医師国民健康保険(医師国保)
この3つのうちのおすすめは健康保険の任意継続です。
理由は保険料が安く、傷病手当や出産手当などの手当が厚いからです。
国保は前述の通りですので、健康保険の任意継続から解説していきたいと思います。
健康保険の任意継続
任意継続とは最後に勤務した病院の健康保険に加入し続けることです。最大2年間の健康保険を延長できます。
任意継続のメリット
①保険料の上限額が決まっており、家族が増えても保険料が増えない。
②健康保険なので傷病手当や出産手当などの保険給付が手厚い
③医師国保より月々の保険料が安くなることが多い。
④厚生年金に加入できる。
任意継続のデメリット
- 任意継続の最長期間は2年
- 手続きは退職後20日以内と期限がある(20日を過ぎると手続き不可)
- 退職日前日時点で勤務期間が2ヶ月以上必要
- 事業主負担がなくなり、保険料が全額自己負担(折半されない)
保険料は令和2年度の保険料はこちらを参照。
2020年12月現在、私が住んでいる宮城県はは上限額は¥30,180円/月です。
任意継続の手続きに必要なもの
・任意継続被保険者資格取得申請書
・任意継続被扶養者届け(扶養家族がいる場合)
・扶養者の非課税証明書(扶養者がいる場合)
※前年の1/1に住民票がある市町村でしか非課税証明がもらえないため注意が必要です。(県外から移転してきた方は前の市区町村からの郵送)
・所得税に関する源泉徴収票のコピー
・雇用保険受給資格者証のコピー
手続きの場所
必要書類を健康保険組合に郵送する。(窓口も可)
任意継続を2年以上延長する方法
本来の任意継続の制度の目的は転職するサラリーマンの転職の間の健康保険を繋げることです。
同じ勤務先では2年間以上の継続は困難ですが,2年間のうちに2ヶ月以上勤務する病院があり、新たな保険証が発行された場合、そこで保険の足場を乗り換えて,さらに2年の任意継続することが可能です。
医師国民健康保険(医師国保)
医師国保は医師会に属している医師が加入できる保険です。
収入によらず保険料が固定なので、本来は収入が高い開業医などに有利な制度です。
医師会への加入が必要
医師国保は医師会の保険なので、医師会への加入が必要となります。そのため医師国保の保険料に加えて医師会の会費がかかります。
医師会費用
日本医師会:年会費68,000円(日本医師会の医師賠償保険に加入済みの場合は28,000円)
日本医師会に入会しない場合は県の医師会や大学病院の医師会へ加入する必要があり,年会費が10,000円以下に抑えられます。
家族の人数分だけ保険料が上がる
医師国保に本人が入っていれば、必ずその家族も医師国保に加入する必要があります。医師国保は県によっても多少異なりますが、家族の人数×7,000〜8,000円前後の保険料が上がります。
保険料は都道府県によって異なります。参考として
東京都の場合は32,500円/月+(7,500円×家族の人数)
私が住んでいる宮城県では30,900円+(8,000円×家族の人数)
都道府県によっては開業医と大学院生や研究生は保険料が異なっていることがあります。
仮に家族がいない方の場合でも、保険料は前述の任意継続の保険料より高くなる傾向があります。
ただ、任意継続の期間2年が終了した場合は国保か医師国保どちらかを選択する必要が出てきます。
国保と医師国保の比較
保険料は地方自治体によって異なるため、各地方自治体のホームページで保険料を確認する必要があります。
私の住んでいる宮城県の場合(令和2年現在)
40歳以下で収入が800万円以上で考えると下記になります。
1人世帯 | 2人世帯 | 3人世帯 | 4人世帯 | |
国保 | 52,769円/月 | 55,422円/月 | 57,950円/月 | 59,878円/月 |
医師国保 (大学院生・研究生) | 30,900円/月 | 38,900円/月 | 46,900円/月 | 54,900円/月 |
医師国保 (それ以外) | 48,600円/月 | 56,600円/月 | 62,600円/月 | 70,600円/月 |
上記のように国保と医師国保では、世帯人数によって保険料が異なってきます。
宮城県の大学院生なら保険料は子供が2人までなら医師国保が安く済みます。
3人世帯以上では国保の方が安くなりそうです。
宮城県の開業医なら子供がいなければ医師国保、子供が1人以上いれば国保の方が安くなることが分かります。
保険料はお住まいの自治体ごとに多少違ってくるため、格自治体のホームページをご確認ください。
第4の選択肢:マイクロ法人を設立して社会保険料を最適化する
第4の選択肢として、社会保険料の最適化に特化した「マイクロ法人を設立する」という選択肢があります。
法人設立というハードルはありますが、設立さえしてしまえば
健康保険に加入しながら、上記のどの方法よりも保険料は最安に抑えることができます。
私(妻と子2人)の場合は、マイクロ法人で健康保険に加入することができ、その保険料は任意継続よりもさらに年間約50万円ほど安くすることができました。
ただし、大学院生終了後に勤務医に戻った場合、社会保険料の最適化には使えない可能性があります。
詳細は下記記事をご参照ください。
フリーランス医師におすすめの医療保険の結論
私が考える勤務医からフリーランス医師になる際のおすすめの医療保険は
1,勤務先を退職後、健康保険の任意継続をする。
2.2年の任意継続の期間以内に2ヶ月以上勤務後、退職する病院があれば、任意継続をさらに2年間延長する
3.任意継続が終了したら国保か医師国保の保険料が安い方を選択する
4. フリーランス医師としての道を歩む方には、「マイクロ法人の設立して社会保険料を抑える」方法があります。
まとめ
今回はフリーランス医師におすすめの医療保険(任意継続・国民健康保険・医師国保)を紹介しました。
健康保険の任意継続は大学院生やフリーランス医師にとって有利な制度の活用方法だと思います。
それぞれの特徴を理解した上で、手続き期間に注意して手続きを行いましょう!
このブログでは資産形成やガジェット、日常、DIYなどの記事を投稿しています。
それでは、またお会いしましょう!
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以上、Dr.さいとーでした。

家族と家計にやさしい医療保険を選択していきましょう!!
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